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テトリス・エフェクト

 いろいろ書いたが、結局テトリスエフェクト買った。
 
 結論から言うと、実に素晴らしいゲームだ。舌の根の乾かぬうちに云々と言いたくなるが、面白いものは面白いのだ。
 
 このゲーム、売りであるおしゃれな見た目もアヴァンギャルドなBGMも、正直ゲームをプレイする上では必要なものではないし、派手すぎる画面に至ってはゲームプレイの邪魔にすら思うときがある。しかし、そんなことを差し引いても、スピード感あふれるゲーム展開と、それをサポートする操作性のよさがゲームを楽しいものにしてくれている。欲を言えば、テトリミノ出現時の先行入力*1サウンドも欲しいところだが、そこまで既存のテトリスを追う必要はないだろう。
 
 それよりも、JOURNEYモードと題された世界中の都市や名所をイメージしたアブストラクトなグラフィックを背景に、次々とステージをクリアするゲームが楽しい。不思議な音楽と、眩いばかりの映像にひたりながら、ひたすらテトリミノを消していくうちに、なんだか夢の世界にいるようなそんな感覚に陥ってくる。プレイ中を通してテトリミノの落下速度には波があり、レベルが上がるに従ってとてつもない速度で落ちてくるテトリミノを、瞬時に判別して適切な場所に積んでいかなければならない。しかし、その高速落下を乗り越えて一定レベルに達すると、またテトリミノの落下速度はゆっくりになる。一見作業のようなゲームだが、引いては寄せる波のように一定のリズムで脳みそに打ち寄せる刺激が、なんとも言えないトリップ感を醸し出してくれる。言ってみれば「バーチャルドラッグ」とでも言いたくなるような効果を与えてくれるのだ。同時に、走馬灯のように流れる背景と時折テトリミノが積み上がってピンチを迎えつつ、またそれを打開していくゲームのリズムを体験しているうちに、プレイヤーは自然と自分の人生を追体験しているかのような思いに包まれてくる。ああ、自分の人生もこんな風にピンチとチャンスの連続だったなあ……むしろ、そういうフィロソフィカルな境地に到達することこそが、このテトリスエフェクトの真の楽しみ方なのかもしれない。
 
 ジャーナリストのダン・アッカーマンの著書『テトリス・エフェクト 世界を惑わせたゲーム』によると「テトリス・エフェクト(テトリス効果)」という言葉は、パターン化された行為を繰り返し行うことが最後には個人の思考や空想を作り出すようになることを指すとされている。例えばそれは、入眠時心像の一種や白昼夢と呼ばれるものと似ている。だとすれば、このテトリスエフェクトというゲームがドラッグのように我々を空想の世界にいざない、ともすれば長い長い人生を想起させるような麻薬敵効果を持っているのも理解できるのではないか。もともとテトリスの持っていたテトリス効果は、卓越した映像表現と音世界によってさらにブーストされることとなったと言える。
 

テトリス・エフェクト―世界を惑わせたゲーム

テトリス・エフェクト―世界を惑わせたゲーム

*1:追記:先行入力はオプションに用意されていて、デフォルトでOFFになっていました。