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20年目のバトルガレッガ 〜神格化されたゲームの「見える化」 (PS4 バトルガレッガ)

 地元のバッティングセンターのゲームコーナー。そこで初めてプレイしたバトルガレッガの印象は、とにかく弾が見えない。いや、見えるのだが、敵を破壊した破片と弾の見分けがつかない。そしてよくわからないうちにやられていく。自機さえも敵の弾と破片と、描き込まれた背景グラフィックに溶け込み、あらゆるものが見えなくなる。そんなイメージのゲームだった。

  
 しかし、バトルガレッガにおいて見えないのは、敵の弾だけではなかった。ゲームの難易度を表す数値、通称「ランク値」が隠されていて見えない。それこそがバトルガレッガ最大の難敵であり、この見えない数値をいかに意識的にコントロールするかが、バトルガレッガを攻略する上で重要なのである。

 
 初めてバトルガレッガに出会ってから15年後。ぼくはこのゲームの基板を手に入れた。好奇心に任せて基板上のROMを解析してみた。そして、その数値をゲーム画面に表示するように、プログラムを改造してみた。おお、なんということだろう。これまで謎だったランク値と、敵の攻撃の激しさ、勲章アイテムの落下速度、ボスの硬さ、その相関関係が手に取るようにわかるではないか。この数値を見ながらこのゲームをプレイすることは、むやみに高難易度の印象だったバトルガレッガに対する認識を改めるきっかけとなった。パワーアップの状態、連射速度、そしてときには残機数までをも意図的にマネジメントすることで、十分に攻略可能なゲームであることが理解できたのである。

 
 そして西暦2016年。バトルガレッガが、なんとPlayStation4のソフトとしてリリースされた。それも、今やレトロゲームの高水準な移植メーカーとして名高いM2こだわりの移植である。この、PS4版バトルガレッガでは、より攻略がしやすいように各種アレンジが盛り込まれている。例えば、そのリアルで渋い色故に見えにくかった敵の弾に、青やピンクといったカラーリングを施すことができる。これによって敵弾の視認性は飛躍的に向上し、プレイヤーは弾を避けることに専念できる。ゲーム画面外にはゲーム進行上のステータスを表示するウィンドウが用意され、次に出現するアイテム、隠しパワーアップの状況等がリアルタイムで表示される。これによって、得点源として重要である勲章アイテムの取りこぼしは劇的に少なくなった。ボスの耐久力表示は、プレイヤーの無駄な動きを減らし、効率的に、かつ安全にボスを倒すことができる。そして、なんと言ってもこれまでバトルガレッガ最大の謎であり、プレイヤーを苦しめてきたランク値が、折れ線グラフとして表示されるのである。

 
 ランク調整のための、一見して理不尽な行動-アイテムを避け、弾を撃たず、自爆をする。こうした奇妙なプレイスタイルを強要してきたバトルガレッガ。このゲームデザインに批判的な意見もあった。しかし、隠された数値が、人の探究心、好奇心を刺激し、ゲーマーたちはその壁を超えてこのゲームを攻略しようと躍起になった。このことがバトルガレッガというゲームを神格化し、伝説のゲームを作り出したことは事実である。

 
 そして21世紀に入り、これまで隠されていたランク値が可視化され、白日の下にさらされることによって、画面上に表示されたその数値のダイレクトな刺激が、再びゲーマーたちの攻略欲を奮い立たせている。プレイしやすさを最大限に考慮して、あらゆるオプションを搭載して我々の前に再び姿を現したバトルガレッガ。この熱狂はまだまだ続きそうである。