PlayLoud!!

Since1997

8ビットの西部劇 / ワイルドガンマン / FC

 男の子なら誰でも、拳銃というアイテムにわくわくしたことがあるだろう。ワイルドガンマンは、そんなわくわく感をそのままファミコンに持ち込んでくれた傑作ゲームである。

 
 その昔、祖父に「光線ピピ」という光線銃の玩具を買ってもらったことがある。フクロウやライオンを模した的を光線銃で撃って遊ぶおもちゃだ。ちなみに僕は長いこと、この「光線ピピ」と任天堂の光線銃を混同して記憶していた。(光線ピピは、マスダヤから発売されていた玩具である)
 
 さて、ワイルドガンマンは、そんな光線銃の玩具をそのままファミコンの画面内で再現したようなゲームである。しかも、ファミコンの圧倒的なグラフィック能力で描画されるキャラクタによって、実にナラティブな要素を内包しつつ登場したのである。
 
 ワイルドガンマンは、同時に発売されたファミコンのオプション機器である光線銃で遊ぶゲームだ。拡張端子に接続した光線銃を、テレビ画面に向けて撃つと、それによってゲームが反応するという魅力的なデバイスであった。画面を一見して分かる通り、西部劇に登場する悪漢のようなコスチュームに身を包んだキャラクタが特徴である。しかも当時ファミコンのゲームとしてはかなり巨大で迫力のあるグラフィックだ。この人物が画面内に現れるだけで「ああ、これは西部劇の早撃ちだな」とわかるのである。今の子供がどうなのかはわからないが、当時の子供たちの間には、そういう共通理解があったんじゃないだろうか。
 
 ワイルドガンマンに搭載された3つのゲームモードはそれぞれ特徴があり、Aは1対1の早撃ち、Bは目の前に現れた2人のうち合図をした者を撃つゲーム、Cは西部劇に登場するサルーンのような建物から顔出す悪党を撃つゲームと、それぞれが西部劇の雰囲気を醸し出しつつ、バラエティに富んでいた。ゲームとしてはシンプルイズベスト。単純極まりないルールではあるが、やはり手に銃を持って実際に体を動かして撃つということが、ゲームの臨場感アップに大きく貢献したのだ。
 
 僕が未だにガンコントローラーを使用するゲームが好きなのは、こんな原体験があったからかもしれない。