STILL LIFE / VAN DER GRAAF GENERATOR
ヴァン・ダー・グラーフ・ジェネレーター、1976年のの6thアルバム。
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アルバムのオープニングを飾る"Pilgrims"だけでいきなりぶっ飛ばされるような勢いを持ったアルバム。プログレらしい繊細なオルガンワークをバックに、ときにメロウに、ときに力いっぱい滾るように歌い上げるピーター・ハミルの歌唱力が表現豊かで、それを聞いているだけで楽しめる。このブリティッシュなメロディ感覚は、英国ロック好きには故郷のような懐かしさと、いつまでも忘れ得ぬ憧憬に満ちている。7分を超える曲ではあるが、劇的な展開で緩むこと無く最後まで一気に聞かせてしまうのはさすが。
タイトル曲の"Still Life"も7分を超える大作。アルバム冒頭から長い曲を続けるなんてどうなってるんだ……と、思いきや、これが全然盛り上がって思いっきりドラマティックに聞かせてくれるもんだから、まったく間延びしない。ホーンセクションも大胆に取り入れ、楽曲の表現のためになんでも取り入れます、と言った雰囲気の曲作りは自分たちのバンドを狭い枠に規定しないプログレッシブな精神の表れか。
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その後も、長い曲ばかり5曲で構成されたアルバムは、どれも似た雰囲気を湛えた曲でありながら、不思議とどれも英国プログレらしい魅力にあふれていて、その緊張感だけで聞くものにグイグイと攻め込んでくる。緩急自在、千変万化の曲展開。プログレ終末期の作品で、あまり有名なアルバムではないかもしれないが、実に充実したエネルギーに満ちた傑作なのである。
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