不気味の谷と、VRの不気味
TelyukaによるCGJK「Saya」が不気味の谷を超えたと話題である。
Sayaの2016verです(•̀ᴗ•́)。去年の発表から色々な皆さんの反応を頂きつつコツコツと改良を重ねてきました。既に動きのシステムも稼動していて秋の展示会へのお披露目に向けて制作中です、詳細は今後アナウンス予定です。 pic.twitter.com/kOGcMx96co
— Telyuka@CEATECで動画 (@mojeyuka) 2016年9月9日
ところで、この「不気味の谷現象」は、東京工業大学名誉教授の森政弘氏が、なんと1970年に提唱した概念だそうだ。
初出はエッソ・スタンダード石油が社外向けに少数発行していた広報誌「energy」に書かれたエッセイ。その内容は現在WEB上で読むこともできる。広報誌自体は一般に入手できるものでは無かったそうだが、一部古書店などで取り扱いもあるようだ。
GetRobo
それにしても、46年前に不気味の谷の存在に注目し、我々人間がそれを警戒する感覚を持ち合わせていると述べている森政弘氏の発想力、洞察力には感嘆するばかりである。森氏はこのエッセイの中で、不気味と感ずる力を「自己防衛本能の重要な一部」と締めくくっている。もちろん1970年の記事であるから、コンピュータによって描かれた写実的な少女のことを想定した話ではない。本物そっくりに作られた義手が不気味さを持ち合わせていることについて書かれた記事である。そう考えると、「不気味の谷現象」の概念をCGに対して適用した人物も極めて鋭いと言わざるを得ない。
ちなみに、森氏はその不気味の谷を超えられていなかった義手についても「(デザインによって)カッコイイだて義手が流行するようになるにちがいない」と予言しているが、こちらも実現しそうな話題が聞かれる。
japanese.engadget.com
話がそれたが、不気味の谷を超えた「Saya」でが、なんと今話題のVRでも体験することができるようになるとのことである。CEATECのレポートを楽しみに待ちたい。
av.watch.impress.co.jp
一方、VRを体験する人々の姿である。
なぜか、CGが不気味の谷を超えた今、我々人間が不気味になっているという声が上がっているのはなんとも皮肉である。
あ、今感じているこの感覚こそ森氏の言う「自己防衛本能」なのか……
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