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STREET LETHAL / RACER X

 ポール・ギルバートがデビューするにあたって結成したバンド、RACER Xの1stアルバム。
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 RACER Xというと、ポール・ギルバートの(2ndではブルース・ブイエも加えた)速弾きがあまりに攻撃的すぎて、とっ散らかったサウンドの若気の至りバンドという印象が強いのだが、2ndアルバムより、この1stの方がまだまとまっているのかもしれない。
 
 自らラウドネスのファンを認め、高崎晃のプレイを真似しながら自分のテクニックを磨いたというポール・ギルバートのプレイは、所々で高崎晃に似たリックや奏法を垣間見ることができ、今となっては微笑ましい。ヴォーカルのジェフ・マーティンは、やかましくがなり立てていて、意味の分からない迫力はあるが、正直彼の声でアルバムのイモ臭さは臨界点に達している。そういうものも含めて、ある意味当時のギターテクニック戦争の真っ只中で、そのシーンを牽引したパワーとエネルギーに満ちたアルバムであることは間違いなく、どうしても垢抜けないサウンドを差し引いても、80年代らしい輝きを持ったポール・ギルバートのギタープレイは素晴らしく、今聞いてもこれだけ安定してフラッシーな演奏を聞かせてくれるバンドは多くない。
 
 一方で、ポール・ギルバートの演奏力だけでなく、ソングライティングの能力はこのデビュー当時から開花しており、アルバム全体を通しても、バリエーション豊かなラインナップの曲がそろっている。随所にキャッチーなフックがある曲作りは、卓越したセンスをうかがわせる。そして、ポール自身のギターテクニックは楽曲の表現に大いなる説得力を与えていることがわかる。あらゆる表現に挑戦しようとする姿勢は、彼がRACER Xのようなアグレッシブさを前面に押し出したバンドにとどまらず、後のMR.BIGやソロ活動で見せたポップセンスにもつながっていくことは予想に難くない。