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Hardwired…To Self-Destruct / METALLICA

 なんだか初期MEGADETHみたいなタイトルのアルバム。
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 もうメタリカはビッグになりすぎて、出すアルバムすべてが賛否両論みたいになってしまっているわけだが、少なくとも今回のニューアルバムはDEATH MAGNETICよりサウンドプロダクションもいいし、切れ味よく突っ走ってくれていて、その点では良作。
 
 1曲目"Hardwired"はスラッシュメタルの面目躍如と言った趣で、バシバシと攻め込んでくるのだ。続く2曲目"Atlas, Rise!"で聞かせてくれるギターのハモりはアイアン・メイデンを思わせるメロディで、ドキッとさせられる。ラーズがブリティッシュに回帰しようなんて思い出してくれたのならいいね、とあらぬ期待をしてしまう。一方、ミドルテンポで攻める3曲目"Now That We're Dead"みたいな曲を聞くと、今度はかつてのLOADのような曲調を思わせずにはいられない。
 
 これはアルバムが散漫と見るよりは、これまで通過してきたメタリカの軌跡がバラエティ豊かなサウンドを生み出すと好意的に解釈できるところである。その後も、緩急つけながらメロディとザクザクを織り交ぜてバランスよく配された構成は見事。世の中の評価は予想していたよりも賛否両論だったけど、個人的にはかっこいいと思って聞けるアルバムに仕上がっている。ビッグバンドという気負いもなく、どこか別カテゴリに飛翔してしまうこともなく、しっかり「スラッシュメタル出身のメタリカ」というスタイルを保ちながら、ベテランとしての貫禄を見せつけてくれる。さすがである。
 
ところが、なぜかこのアルバムにはディスク2とディスク3が含まれる。ディスク1とは打って変わってダークな印象の曲が増えるディスク2。もしかするとこれが鬼門かもしれない。1枚目と2枚目をミックスして、曲を厳選すれば傑作アルバムとして認められたのではないか。残念ながら、このディスク2の存在が、作品全体を散漫な印象にしてしまっている。そこに何かバンドの意図があったのか、ビッグバンドだからこそできる詰め込むだけ詰め込んで売れるだけ売ろうぜ…という商売上の理由なのか。(たぶん後者)それはいちファンには知る由もないところであるが、若干の残念さを感じつつ。
 
そして、ライブ音源やカヴァー曲で構成されたディスク3。これは(かなり豪華だが)完全なおまけとして聞けば、納得がいく。とりあえず、ロニー・ジェイムズ・ディオのトリビュートにも収録されていた"Ronnie Rising Medley"はかなりかっこいい。まあ、これは原曲の力9割だけど、こっち方面のファンならば聞く価値あり。嗚呼、キル・ザ・キングかっこいいなぁ…(笑)
 
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