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PLAYS ON / THE CLIMAX BLUES BAND

 その昔、生粋のブルーズは苦手だった。あの、演奏者が陶酔してパフォーマンスに浸りきったオーバードーズな感じに対して引いてしまうというか、覚めた目でテクニック分析に走ってしまう自分がいたからだ。
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 THE CLIMAX BLUES BANDは本場シカゴのブルーズにも影響を受けたバンドで、当初はTHE CLIMAX CHICAGO BLUES BANDと名乗っていた。英国生まれながら、シカゴを、しかもクライマックスを名乗るとは大胆不敵な奴らである。しかし、演奏はその名に恥じないぐらいストイックにブルーズロックしているのだ。
 
 アルバム冒頭を飾る"Flight"はひたすら楽器同士の掛け合いが楽しめるインストナンバー。洗練された大人の音作りは、7分を超える長尺を感じさせないスリルに満ちている。そして、ヴォーカルやピアノ、ブルースハープが入ってくる曲では、自然に体が動き出すようなノリの良さとエンターテイメント性が盛り込まれ、決して演奏の上手さだけを聴き込むような無機質のバンドでは無いことを感じさせる。ホーンセクションやフルートも果敢に取り込むその姿勢は、聞き手を楽しませようというフレンドリーなアティチュードにあふれていて、本当に楽しく聞けるアルバムに仕上がっている。ぼくのブルーズロックに対する蒙を啓いてくれる1枚である。
 
 このアルバムを気に入ったら、フリートウッド・マック、サヴォイ・ブラウン、チッキン・シャック辺りにも進んでみるべきなのだろう。