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アーケードアーカイブス アトミックロボキッド

 ぼくは二十歳だった。それがひとの一生でいちばん美しい年齢だなどとだれにも言わせまい。

 
 そんな時代である1988年に、ゲームセンターに登場したUPLのゲームがアトミックロボキッドだ。アトミックロボキッドは、ミュータントナイトやオメガファイター、宇宙戦艦ゴモラといった、UPLを特徴づけるゲームをデザインした、故藤沢勉氏の作品である。このゲーム、個人的には1986年に公開されたアメリカの映画「ショートサーキット」に登場するジョニー5辺りをヒントに作られているのではないかという印象を持っている。もちろんそれを裏付ける情報もないし、ゲーム中にもロボットであるという意外にあまり共通点は見られないのだが。

 アトミックロボキッドのゲームシステムは単純である。ロボットの姿をした自機を操り、アイテムを拾うことで入手した武器を切り替えながら敵を倒しつつ(あるいは倒さなくてもよい)ステージごとのゴールを目指すことでゲームが進んでいく。しかし、武器の種類とゲームの戦略性にはつながりが薄く、(ほとんどのゲームがそうであるように)ミスをするとすべての武器を失ってしまうために、ゲームの場面によって効果的に武器を使い分けることがあまりできないのである。そこがこのゲームの弱点であると思っているのだが、主人公ロボットやロボ恐竜君(忍者くん阿修羅ノ章からゲスト出演?)、ボーナスキャラとして登場するミュートロンくん(ミュータントナイト)などのキャラクタの愛らしさも手伝って、当時のゲームセンターでは一定の人気を保っていたようだ。

 
 ぼくの学生時代の友人、I藤君は今で言うアニオタで、どちらかというとゲーセンには足を運ばない人間だったが、アニメ好きロボット好きのI藤君の目にもこのゲームは魅力的に映ったようで、当時ゲームセンターで度々プレイしている彼の姿を覚えている。ついでに言えばそのI藤君は、その後PCエンジンに移植されたアトミックロボキッドも購入していた。

 
 冒頭で触れた映画「ショートサーキット」は興行収入4000万ドルと、非常に微妙な小ヒット映画で大失敗でも大成功でもなかったそうだが(ショートサーキットは続編も撮影されている)、このアトミックロボキッドも、決して大ヒットゲームではないけれども、愛嬌のあるキャラクタやメカノアソシエイツによる哀愁あふれるBGM、そしてわかりやすいゲームシステムと遊びやすい難易度で、今も我々の記憶に残る良ゲーとして生き続けているのである。
 
 蛇足であるが、I藤君はショートサーキットも好きだったこを今思い出した。