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バイオハザード7 〜ネタバレ無しのファーストインプレッション

 体験版だけでわかる、これまでのシリーズからのあまりに急激な路線変更を行ったバイオハザード7。その、あまりの変貌ぶりに当初買う気が失せたものの、その後の情報から、この路線変更の意味を敏感に嗅ぎ取ったぼくは、急遽発売日に購入することを決意したのであった。

 
 早速プレイしてみたので、(ほぼ)ネタバレ無しで感想を書いていこう。(事前の体験版、オフィシャルサイトやムービー程度の情報は記述しています)

 
 バイオハザード7の舞台は、アメリカ南部のルイジアナ州。ゲームの冒頭では、ミシシッピ川のかたわらを走る主人公の車が映し出される。バイオハザードシリーズは、初代のPS版において、プリレンダリングの当時としては極めて精緻なグラフィックを使用したことを始め、映像の質感に徹底したリアリティを追求してきた。この埃っぽいルイジアナの風景にも、そんなバイオハザードの卓越したヴィジュアルを継承する様がうかがえて安心できる。

 
 主人公に対し、ビデオ越しに語りかける恋人の映像。なんでもない映像すら、わざとらしいライティングと奇妙なデフォルメを施されたリアリズムゆえ、恐ろしく見えてしまう。

 
 ミシシッピと言えば、ロバート・ジョンソンなどでおなじみ、ブルースの故郷というイメージが浮かんでくる。しかし、バイオハザード7の舞台は、鬱蒼とした林の奥に建つ洋館である。その不吉な姿は、ブルースというよりは、1974年に公開され、一世を風靡したトビー・フーパー監督の映画「悪魔のいけにえ」である。(もっとも「悪魔のいけにえ」は、洋館というよりは普通の家だし、舞台もお隣のテキサスではあるのだが)

 
 洋館に潜入するまでにも、ちょっとした仕掛けがあるわけだが、こんな動物の死骸を加工した禍々しいオブジェクトも置かれていて、これから繰り広げられる陰惨な物語を予感させる。正直、こんなちょっとした演出が、ホラーファンには嬉しいのだ。

 
 プレイヤーはほどなく建物の入り口にたどり着く。ここからしばらくは体験版で見た風景が続く。とは言え、昼間の明るい中で見る洋館は、細部まで見渡せるからこそ新たな恐怖を呼び起こす。体験版とはまた違った感覚で見ることができる。

 
 体験版の主軸となっていたビデオテープは本編にも存在する。中身は体験版と同じ映像だ。

 
 体験版をなぞるような一連のシークェンスが、ゲームの冒頭に配置されている。このビデオの展開も、そこに登場する館の仕掛けも、プレイヤーにはわかりきっていることであるが、これはむしろ序盤の手続き的な攻略要素を簡単にする意味があり、体験版を遊んだ人にとっては、ゲームを軽快に進められる親切設計なのであろう。

 
 壁のいたるところに写真が貼られているさまは、いかにもシリアル・キラーの存在を示す演出で、映画やドラマでは典型的な小道具である。こんなところから、今回のバイオハザードが、ここ最近たどってきたモンスターアクション路線から、ホラー、サイコサスペンスへ舵を切ったように感じられる。

 
 無造作に置かれた新聞にも、連続殺人事件をうかがわせる記事が掲載されている。見出しにあるBAYOU(バイユー)はミシシッピ川流域に見られる緩やかな流れの川のことで、こんなところからもゲームの舞台となるルイジアナの風土や地域性が伝わってくる。

 
 乱雑に打ち捨てられた書籍の著者は、なんとクライヴ・R・オブライエン。バイオハザード・リベレーションズの登場人物である。

 
 ある人物が閉じ込められている部屋。壁の様子から防音室であり、拷問や連続殺人にすぐにも結びつくような舞台装置が用意されている。

 
 そして、バイオハザードシリーズでおなじみのチェーンソーであるが、これも同時に「悪魔のいけにえ」を思い起こさせるアイテムだ。

 
 主人公が必死で逃げるシーン。ここも体験版で通った道で、すでにプレイ済みの人にとって逃げることは容易い。しかしそれは同時に、いずれこの館の中で自分が追い詰められる運命にあることも理解しながらの逃走劇なのだ。

 
 オフィシャルサイトにも掲載されていた、狂気じみた家族の食卓。そこにある食物は内臓のように見える。猟奇的かつグロテスクな風景に、実在した連続殺人鬼エド・ゲインを思い出さずにいられない。

 
 食卓には、生死さえはっきりしない老婆(?)の姿もあり、この家族構成も悪魔のいけにえのそれに倣っているように思える。

 
 壁にかかっている家族の写真を見て、プレイヤーは登場人物の人数に違和感を覚えるだろう。直接的なゲームのヒントではないものの、随所に恐怖を高めるための演出が仕掛けられているのだ。

 
 鹿の剥製は初代バイオハザードのオマージュか。

 
 発見したアイテムを嵌め込んだり、置いたりすることで起動するギミックともあわせて、館の雰囲気は初代バイオハザードの恐怖感を取り戻そうとしているかのように見える。

 
 そして、アップデート後の体験版にも出現したモールデッド。あたかもバイオハザード5のウロボロスを思わせる姿で、やはり過去の作品との関連性を感じさせるのだ。

 
 と、まだまだ始まったばかりのバイオハザード7だが、どうやらいい意味で伝統的なホラー映画の要素を再吸収し、同時に初期バイオハザードの息詰まるような恐怖への回帰を目指しているように見える。

 
この辺りのテイストを事前情報で小出しにしつつ、遊ぶ側に伝えようとして来たカプコン。このメッセージを正しく受け取れたユーザーには、このゲームの魅力が感じられるという仕掛けがなされているゲームなのかもしれない。

 
いずれにしても、この後の展開が楽しみである。