ARMORED SAINTである。
今から四半世紀前、ヘヴィメタル沼に片足を突っ込み始めたばかりのぼくは、当然(リアルタイムではなかったけど)そのバンドの存在にも気づいて、1stアルバムMARCH OF SAINTを『ジャケ買い』してみた。
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5人の騎士が立ち並ぶファンタジー臭漂う(今ならば「ダークソウルかよ」とでも突っ込みたくなる)ジャケットから欧州バンドかと思いきや、これがれっきとしたアメリカ出身のバンド。しかし、サウンドもどこか垢抜けない、有り体に言えばクソだっさいメロディに溢れた、やはりヨーロッパを思わせる音作りで、個人的にはおおむね好意的な印象を持ったもののそれほどのめり込むこともなく、ジャケ買いしたCDも長らく棚の奥で眠りにつくことになっていたのである。要するに、ぼくの彼らに対する評価は、正統派ヘヴィメタルに憧憬を持ちながら、いまいちクォリティで突き抜けられないB級バンドという程度に終わったのだ。ちなみに、アルバムのオープニングを飾るタイトル曲のイントロはロシアの大作曲家ムソルグスキー先生の『キエフの大門』である。この辺も苦笑するしかないセンス(笑)
が、しかし、その彼らが今回ラウドパークで来日するというではないか。しかも2015年に最新アルバムがリリースされている(!)ということがわかり、今の音を聞いてみることにした。
それが、それがである……!
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うおおおおおおお!かっこいい!なんだ、このかっこいいバンド!全然欧州のクサみ、ドロドロ加減、そういうものが無いじゃないか。いや、むしろ90年代〜00年代のどんよりムードを息を潜めながら生き延び、近代復権を果たしたとも言える、メロディとパワーに満ち満ちた元気印のストレートなヘヴィメタルとして完成されているのだ。しかも、シンプルなギターサウンドと、アグレッシブでワイルドなヴォーカルで構成される飾らない音作りが、本当に俺の好みにぴったり。震える。もう何年も何年もメタル生活を続けてきて、心が震える曲なんて無いと思っていたけど、全然そんなこと無い。血湧き肉躍るこの体験。まだまだ感動できる曲があるじゃないか。ARMORED SAINTに一体何が……!?
一瞬ヴォーカルの交代があったのかと思ったが、1stアルバムと最新アルバムを聞き比べると、歌い方が大きく洗練されているものの、確かに同じ声に聞こえる。昔と違って、すぐにネットでバンドの動向を調べられる時代。早速ARMORED SAINTの歴史を紐解いた。いい時代になったものだ。
あ……なんとヴォーカルはジョン・ブッシュさんでしたか!そんなことも知らずに25年以上もいたぼくであった。メタラーを名乗っておきながら、なんという無知。なんという蒙昧。いやはや、お恥ずかしい。ジョン・ブッシュをヴォーカルとしてスタートしたARMORED SAINTは、80年代当時それなりにアルバムをリリースしていたものの、どうやら、ギターのデイヴ・プリチャードが白血病で亡くなり、さらにジョン・ブッシュがANTHRAXに引き抜かれたことで解散を余儀なくされたということらしい。
あれ?ANTHRAX……?アンスラックスのヴォーカル?
あれ?もしかして……
もしかして、あなたですか?
いつぞやのラウドパークで来日していたANTHRAXのヴォーカル。
ああああ、あなたがジョン・ブッシュさんじゃないですか!
なんと、初めてラウドパークへ行ったあの日、偶然にもジョン・ブッシュが在籍していたANTHRAXを目撃していたのだ。俺の中ですべての項目がシナプスのごとくつながる感覚が。びっくりした。しかも、そのジョン・ブッシュがその後ANTHRAXを解雇され、再びARMORED SAINTを結成していたとは……こういうサプライズがあるから、メタル沼は抜けられない。(まあ、単にぼくの情報不足なんだけど)
とにかく、そんなジョン・ブッシュが再結成したARMORED SAINTにいたく感銘を受け、今回のラウドパークの最大の目的は、ARMORED SAINTを見に行こう……いや、『ARMORED SAINTを率いるジョン・ブッシュさんにラウドパークで再開しよう!』に決まったのである。なんだかなー(笑)
ARMORED SAINTのTシャツも買って準備万端だぜ!w
※ちなみに、初ラウドパークの記事はこちら
keigox68000.hatenablog.com
参考動画:80年代に"March of Saint"を熱唱するジョン・ブッシュ
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